青色申告特別控除65万円の条件と手順|55万円・10万円との違い
青色申告特別控除は条件しだいで65万円・55万円・10万円に分かれます。複式簿記やe-Taxなど65万円を受けるための条件、承認申請書の期限、開業から申告までの手順をチェックリストで整理します。
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青色申告にすると「65万円控除」が受けられると聞いて承認申請はしたものの、実際に65万円を受けるには何が必要なのか、55万円や10万円になってしまうのはどんな場合なのか、はっきりしないまま申告の時期が近づいていませんか。
青色申告特別控除は、条件を満たすかどうかで控除額が65万円・55万円・10万円の3段階に分かれます。同じ青色申告でも、帳簿のつけ方と申告書の出し方しだいで差が出る仕組みです。
この記事では、3つの控除額の違い、65万円を受けるための条件、承認申請書の期限、開業から申告までの手順を整理します。2026年分の申告(2027年に行うもの)を前提にしています。
青色申告特別控除とは?「所得」から差し引ける金額
青色申告特別控除は、青色申告をしている個人事業主が、事業所得などの金額から一定額を差し引ける制度です。青色申告とは、税務署の承認を受けたうえで、決められた方法で帳簿をつけて申告する方式のことです。
ポイントは、税額から引くのではなく「所得」から引くことです。所得が小さくなると、所得税だけでなく住民税や、加入している場合は国民健康保険料の計算のもとになる金額も小さくなります。例えば所得税の税率が10%の人なら、65万円の控除で所得税だけでも6万5,000円程度(目安)の差になり、住民税にも影響します。
控除額と主な条件は次のとおりです。
| 控除額 | 主な条件 | 帳簿のつけ方 |
|---|---|---|
| 65万円 | 55万円の条件に加えて、e-Taxで申告する、または優良な電子帳簿保存を行う | 複式簿記 |
| 55万円 | 複式簿記で記帳し、貸借対照表と損益計算書を添付して期限内に申告する | 複式簿記 |
| 10万円 | 上の条件を満たさない青色申告(簡易な帳簿で記帳した、期限後に申告した など) | 簡易簿記でも可 |
55万円・65万円に共通する4つの条件
65万円の控除は「55万円の条件+α」という構造になっています。まずは土台となる55万円の条件を確認しましょう。
- 事業所得(または事業的規模の不動産所得)があること:フリーランスの仕事の収入は、事業として行っていれば通常は事業所得として申告します。副業の収入が雑所得として扱われる場合は、青色申告特別控除の対象になりません。
- 複式簿記で記帳していること:複式簿記とは、1つの取引を「お金がどこから来て、どこへ行ったか」の2つの面から記録する方法です。家計簿のような単式の記録(簡易簿記)では、10万円控除になります。
- 貸借対照表と損益計算書を添付すること:損益計算書は1年間の売上と経費の結果、貸借対照表は年末時点の財産と負債の一覧です。どちらも青色申告決算書の中に記入欄があります。
- 申告期限内に提出すること:確定申告の期間は例年2月16日〜3月15日ごろです。2027年の具体的な日付は国税庁で確認してください。期限を過ぎて提出すると、ほかの条件を満たしていても10万円控除になります。
副業の収入が事業所得になるか雑所得になるかは、事業としての規模や継続性、帳簿の有無などから判断されます。判断に迷う場合は、税務署や税理士に確認してください。
65万円にするには「e-Tax」か「優良な電子帳簿保存」
55万円の条件を満たしたうえで、次のどちらかを行うと65万円になります。
e-Taxで申告する
e-Taxは、国税庁のオンライン申告の仕組みです。確定申告書と青色申告決算書をまとめて、期限内にe-Taxで送信すれば条件を満たせます。送信の方法は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」から送る方法と、会計ソフトから送る方法があります。
本人確認には、マイナンバーカードを使う方式と、税務署で発行を受けるID・パスワードを使う方式があります。マイナンバーカード方式では、カードを読み取れるスマートフォンかICカードリーダーが必要です。多くのフリーランスにとっては、こちらのほうが取り組みやすい方法です。
優良な電子帳簿保存を行う
もう1つは、電子帳簿保存法で定められた「優良な電子帳簿」の要件を満たして、帳簿をデータで保存する方法です。訂正や削除の履歴が残ること、帳簿どうしの記録を関連づけられること、日付や金額で検索できることなどが求められ、事前に税務署への届出も必要です。対応している会計ソフトもありますが、設定や届出の手間を考えると、まずはe-Taxで条件を満たすのが現実的です。
青色申告承認申請書の提出期限
そもそも青色申告をするには、事前に「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出しておく必要があります。期限を過ぎると、その年は青色申告ができず、控除も受けられません。
- すでに事業をしている人:青色申告をしたい年の3月15日まで
- その年の1月16日以後に開業した人:開業した日から2か月以内
例えば2026年分から青色申告にしたかった人が2026年3月15日までに出していなければ、2026年分は白色申告になります。その場合は、2027年3月15日までに提出すると2027年分から青色申告にできます。
申請後、原則としてその年の12月31日までに却下の通知がなければ、承認されたものとして扱われます。一度承認されれば、取りやめの届出を出すまで翌年以降も青色申告が続きます。
65万円控除を受けるまでの手順
1年の流れに沿って、やることを並べました。チェックリストとして使ってください。
- 青色申告承認申請書を期限内に提出する(申請書では、帳簿のつけ方として複式簿記を選ぶ)
- 事業用の銀行口座やクレジットカードを分け、取引を追いやすくする
- 会計ソフトを用意し、売上や経費を日々(少なくとも月1回)記帳する
- 請求書・領収書などの書類を保存する(帳簿や書類の保存期間は原則7年、書類の種類によっては5年)
- 年末に決算整理をする(パソコンなどの減価償却、自宅を仕事場にしている場合の按分、未入金の売上の計上など)
- 青色申告決算書(損益計算書と貸借対照表)を作成する
- マイナンバーカードと読み取り機器を準備し、e-Taxで送信できる状態にしておく
- 期限内に、確定申告書と青色申告決算書をe-Taxで送信する
複式簿記と聞くと難しく感じますが、会計ソフトを使えば、日付・金額・内容を入力したり銀行明細を取り込んだりするだけで、複式簿記の形の帳簿と貸借対照表が作られます。簿記の知識に自信がない人ほど、手書きや表計算ソフトではなく会計ソフトを使うのがおすすめです。
主な会計ソフトを並べると次のとおりです。どれも青色申告決算書の作成とe-Taxでの申告に対応しています。料金・条件は公式サイトで確認してください。
| PR | 会計ソフト(個人事業主向けプランあり)freee会計 | 会計・確定申告ソフトマネーフォワード クラウド確定申告 | 青色申告向けクラウド会計ソフトやよいの青色申告 オンライン |
|---|---|---|---|
| 特徴 |
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| こんな人に | 簿記の知識に自信がなく、画面の案内に沿って進めたい人 | 家計簿アプリ感覚で明細を集約し、仕訳も自分で理解しておきたい人 | 費用を抑えつつ、定番のソフトで青色申告をしたい人 |
| 料金 | 料金は公式サイトで確認 | 料金は公式サイトで確認 | 料金は公式サイトで確認 |
| お試し | 無料お試しあり(条件は公式で確認) | 無料お試しあり(条件は公式で確認) | 初年度無料などのキャンペーンあり(条件は公式で確認) |
| 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※ 2026年時点の一般的な情報です。料金・機能・キャンペーンは各社の公式サイトでご確認ください。
選ぶときは、画面の案内に沿って進めたいか、仕訳の中身を自分で把握したいか、使っている銀行やカードと連携できるかを基準にすると決めやすくなります。会計ソフトの詳しい比較は別の記事で解説します。
55万円・10万円になってしまうよくあるケース
「青色申告をしているのに65万円になっていなかった」というのは、次のようなケースが典型です。当てはまるものがないか確認しましょう。
- 申告書を紙で提出した(e-Taxを使っていない)→ 55万円
- e-Taxで送ったのが申告期限の後だった → 10万円
- 損益計算書だけで、貸借対照表を作っていなかった → 10万円
- 現金出納帳など簡易な帳簿だけで記帳していた → 10万円
- 承認申請書の提出が間に合わず、その年は白色申告になった → 控除なし
- 副業の収入が雑所得として扱われた → 控除の対象外
特に多いのは、帳簿は会計ソフトでつけていたのに、最後に申告書を印刷して紙で出してしまうケースです。会計ソフトからe-Taxで送信するか、作成コーナーでデータを入力して送信するところまで進めましょう。
まとめ
青色申告特別控除は、複式簿記・貸借対照表と損益計算書の添付・期限内申告で55万円、そこにe-Taxでの申告か優良な電子帳簿保存を加えると65万円になります。条件を1つでも外すと10万円に下がるため、年の途中から準備しておくことが大切です。
次にやることは、次の3つです。
- 青色申告承認申請書を出しているか、控えや提出の記録を確認する(まだなら期限を確認して提出する)
- 会計ソフトを選び、複式簿記で記帳を始める
- マイナンバーカードと読み取り機器を準備し、e-Taxで期限内に申告する段取りを決めておく
個別の事情で条件を満たしているか判断に迷う場合は、税務署や税理士に確認してください。
※ 記事の内容は公開・更新時点の一般的な情報です。税金・制度の個別の判断は、税理士や税務署にご確認ください。サービスの料金・条件は各社の公式サイトでご確認ください。