会計・確定申告更新 2026.10.27読了 7分

フリーランスの勘定科目一覧|源泉徴収・手数料差し引きなど迷いやすい仕訳の例

フリーランスがよく使う勘定科目を、資産・負債・収益・経費のグループ別に一覧にしました。源泉徴収された報酬、振込手数料を差し引かれた入金、税金や社会保険料の支払いなど、迷いやすい仕訳の例も解説します。

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会計ソフトに取引を登録するとき、「この支払いは通信費?支払手数料?」「源泉徴収された報酬はどう入力するの?」と手が止まることはありませんか。勘定科目の候補がたくさん表示されて、どれを選べばよいか迷う人は多いはずです。

勘定科目は、税法で細かく決められているわけではありません。大切なのは、取引の内容に合った科目を選び、毎年同じ考え方で使い続けることです。とはいえ、入力の仕方によって利益の金額が変わってしまう取引もあるため、迷いやすいポイントは押さえておく必要があります。

この記事では、フリーランスがよく使う勘定科目をグループ別に一覧にし、源泉徴収・手数料・税金の支払いなど、迷いやすい取引の仕訳例を紹介します。借方・貸方の読み方は別の記事で詳しく解説しています。

勘定科目を選ぶときの基本

勘定科目は、取引を分類するための名前です。青色申告決算書や収支内訳書にはあらかじめ科目の欄が用意されていて、会計ソフトの科目もおおむねそれに沿っています。選ぶときは次の3点を意識しましょう。

  • 内容が分かる科目を選ぶ:決算書を見た人が、何に使ったお金か想像できる科目にする
  • 毎年同じ使い方をする:同じ種類の支出は、年ごとに科目を変えない
  • 経費かどうかを先に考える:私用の支出や税金の一部など、そもそも経費にならないものは経費の科目を使わない

どの経費の科目を選ぶかで迷う程度なら、利益の金額は変わりません。一方で、経費にならない支出を経費の科目で処理したり、売上を手数料差し引き後の金額で記録したりすると、所得の金額そのものが変わってしまうので注意が必要です。

資産・負債・純資産の主な勘定科目

グループ 勘定科目 使う場面の例
資産 現金 手元の現金で支払った・受け取った
資産 普通預金 事業用口座の入出金
資産 売掛金 納品済みで、まだ入金されていない報酬
資産 前払費用 翌年分のサービス料金を先に払った
資産 工具器具備品 減価償却するパソコンや機材
資産 事業主貸 事業のお金を私用に使った、所得税や社会保険料を払った
負債 未払金 カードで払い、まだ引き落とされていない代金
負債 前受金 納品前に受け取った着手金
負債 預り金 外注先への支払いから源泉徴収した所得税(源泉徴収義務がある場合)
負債 事業主借 私用のお金で経費を払った、事業用口座に預金利息が入った
純資産 元入金 事業の元手。期首に自動で計算されることが多い

収益・経費の主な勘定科目

グループ 勘定科目 使う場面の例
収益 売上高 受託報酬、制作費、原稿料、コンテンツの販売代金
収益 雑収入 本業の売上以外で、事業に付随して受け取った収入(事業に関連する報奨金など)
経費 外注費 制作の一部を他のフリーランスに依頼した
経費 通信費 ネット回線、スマホ、サーバー、ドメイン
経費 支払手数料 振込手数料、決済手数料、プラットフォーム手数料
経費 消耗品費 10万円未満の機器、文房具、周辺機器
経費 新聞図書費 技術書、業界誌、有料の記事やニュース
経費 研修費 セミナーやオンライン講座
経費 旅費交通費 打ち合わせへの電車代、出張の宿泊費
経費 会議費・接待交際費 打ち合わせの飲食代、取引先への贈答
経費 地代家賃・水道光熱費 家事按分した家賃や電気代、コワーキングスペース
経費 租税公課 個人事業税、事業用の印紙代、固定資産税の事業分
経費 減価償却費 パソコンなどの減価償却の額
経費 支払報酬 税理士などの専門家への報酬

ソフトのサブスクや生成AIの有料プランは、通信費や支払手数料など、事業者によって扱いが分かれます。決まった科目はないので、自分で1つに決めて継続して使いましょう。会計ソフトによっては「サブスク費」のような独自の科目を追加することもできます。

迷いやすい仕訳①:売上まわり

源泉徴収された報酬

原稿料やデザイン料など、一部の報酬は、支払う側が所得税を差し引いて(源泉徴収して)振り込みます。例えば報酬10万円と消費税1万円を請求し、10万円に対する源泉徴収税額1万210円(100万円以下の部分は10.21%)を差し引かれて、9万9,790円が入金された場合です。

  • 請求時:借方 売掛金 11万円/貸方 売上高 11万円
  • 入金時:借方 普通預金 9万9,790円、事業主貸 1万210円/貸方 売掛金 11万円

源泉徴収された所得税は経費ではなく、確定申告で納める所得税から差し引く「前払いの税金」です。個人事業主の場合は事業主貸で処理するのが一般的です(「仮払源泉税」などの科目を使う方法もあります)。売上を入金額の9万9,790円で記録すると、売上が少なく計上されてしまいます。

振込手数料やプラットフォーム手数料を差し引かれた入金

取引先が振込手数料を差し引いて振り込んだ場合や、クラウドソーシングのように手数料が差し引かれて支払われる場合も、売上は差し引かれる前の金額で計上し、差額を支払手数料にします。

  • 借方 普通預金 4万9,560円、支払手数料 440円/貸方 売掛金 5万円

迷いやすい仕訳②:支払いまわり

税金・社会保険料・私用が混ざる支払い

  • 国民健康保険料・国民年金保険料・所得税・住民税:経費ではないので、事業用口座から払った場合は事業主貸で処理します。社会保険料は確定申告で所得控除として扱います。
  • 私用のカードで仕事の物を買った:借方 消耗品費など/貸方 事業主借。引き落としは私用の口座から行われるため、事業の帳簿には記録しません。
  • 事業用カードで私用の買い物をした:借方 事業主貸/貸方 未払金。できるだけ私用の買い物には使わないようにしましょう。
  • 年払いのサービス料を払った:その年の分は経費、翌年の分は前払費用にするのが原則です。1年以内の短期の前払いを、継続して支払った年の経費にする扱いも認められていますが、条件があるため確認が必要です。
  • 事業用口座に預金利息が入った:個人の預金利息は事業の売上ではなく利子所得として源泉徴収で課税が終わるため、事業主借で処理します。

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外注先への支払いから源泉徴収した場合

人を雇って給与を支払っているなど、源泉徴収義務がある個人事業主が、デザイン料などの源泉徴収の対象になる報酬を外注先に支払う場合は、所得税を差し引いて支払い、後で税務署に納めます。例えば報酬5万円から5,105円を差し引いて支払う場合です。

  • 支払時:借方 外注費 5万円/貸方 普通預金 4万4,895円、預り金 5,105円
  • 納付時:借方 預り金 5,105円/貸方 普通預金 5,105円

給与の支払いがないひとり仕事のフリーランスは、原則として源泉徴収義務がないため、外注先に報酬の全額を支払います。自分に源泉徴収義務があるかどうかは、税務署で確認してください。

まとめ

勘定科目は、内容が分かる科目を選び、毎年同じ考え方で使い続けることが基本です。特に、源泉徴収や手数料が差し引かれた入金は差し引き前の金額で売上を計上すること、税金や社会保険料は経費ではなく事業主貸で処理することを押さえておきましょう。

次にやることは、次の3つです。

  1. この記事の一覧を参考に、自分がよく使う勘定科目を10個前後に絞ってメモする
  2. 源泉徴収された入金や手数料の差し引きがある入金が、正しい金額で売上になっているか確認する
  3. 税金や社会保険料の支払いが経費に入っていないか見直し、判断に迷う取引は税理士や税務署に確認する

※ 記事の内容は公開・更新時点の一般的な情報です。税金・制度の個別の判断は、税理士や税務署にご確認ください。サービスの料金・条件は各社の公式サイトでご確認ください。