会計・確定申告更新 2026.10.27読了 7分

減価償却の基本|PC・機材を買ったときの計算方法と耐用年数、月割りの計算例

パソコンやカメラなど長く使う機材は、買った年に全額ではなく「減価償却」で数年に分けて経費にするのが基本です。定額法の計算式、主な耐用年数、年の途中で買ったときの月割り計算、申告での書き方を解説します。

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仕事用に新しいパソコンや機材を買ったものの、「これは全額を今年の経費にしていいのか」「減価償却と言われても計算方法が分からない」と手が止まっていませんか。高額な買い物ほど、処理を間違えたときの影響も大きくなります。

減価償却は、言葉は難しそうですが、計算の考え方はシンプルです。買った金額を、使える年数に分けて毎年少しずつ経費にしていくだけです。一度流れをつかめば、会計ソフトへの登録もスムーズに進められます。

この記事では、減価償却の考え方、金額による処理の分かれ方、定額法の計算式、主な耐用年数、年の途中で買ったときの月割りの計算例、申告での扱いを整理します。

減価償却とは?なぜ一度に経費にできないのか

減価償却とは、長い期間使う資産の購入費用を、使える期間(耐用年数)に分けて少しずつ経費にする方法です。パソコンのように何年も使うものは、買った年だけでなく、使っている間ずっと売上に貢献すると考えるためです。

減価償却の対象になるものを「減価償却資産」といいます。パソコン、カメラ、机・椅子、車、ソフトウェアなどが代表例です。一方、土地のように時間がたっても価値が減らないものは対象になりません。

減価償却では、お金を払った年と経費になる年がずれます。例えば24万円のパソコンを現金で買った場合、手元のお金は24万円減りますが、その年の経費になるのは一部だけです。その分、翌年以降も支払いのない経費が計上されることになります。

金額によって処理が変わる

購入した資産は、1つあたりの金額(取得価額)によって処理が分かれます。

取得価額(1つあたり) 主な処理 青色・白色
10万円未満 買った年に全額を経費にできる(消耗品費など) どちらも可
10万円以上20万円未満 一括償却資産として、3年間で3分の1ずつ経費にする方法を選べる どちらも可
青色申告者の特例の対象額未満 少額減価償却資産の特例で、買った年に全額を経費にできる(年間の合計額に上限あり) 青色のみ
上記以外 耐用年数に応じて減価償却する どちらも可

一括償却資産は、年の途中で買っても月割りせず、毎年3分の1ずつ経費にします。少額減価償却資産の特例は、これまで30万円未満の資産が対象とされてきましたが、対象額や適用期限は税制改正で見直されています。2026年10月時点の情報ではなく、適用前に最新の内容を国税庁の公式情報で確認してください。

定額法の計算式と主な耐用年数

個人事業主の減価償却は、届出をしない限り「定額法」で計算するのが原則です。定額法は、毎年同じ金額を経費にしていく方法です。

1年分の減価償却費=取得価額×定額法の償却率

償却率は耐用年数ごとに決まっていて、耐用年数4年なら0.250、5年なら0.200、6年なら0.167です。フリーランスがよく買う資産の耐用年数の例は次のとおりです。

資産 耐用年数 定額法の償却率
パソコン(サーバー用を除く) 4年 0.250
サーバー用のパソコン 5年 0.200
カメラ 5年 0.200
ソフトウェア(販売用などを除く一般的なもの) 5年 0.200
普通自動車(新車) 6年 0.167
軽自動車(新車) 4年 0.250
事務机・椅子(主に金属製) 15年 0.067
事務机・椅子(金属製以外) 8年 0.125

耐用年数は、国税庁の「耐用年数表」で資産の種類ごとに決められています。表にない機材を買ったときは、どの区分に当たるかを耐用年数表で確認してください。中古で買った資産は、使われた年数に応じて耐用年数を短くして計算する方法があります。

計算例:年の途中でパソコンを買った場合

減価償却費は、買った年は使い始めた月からの月数で月割りします。例えば、2026年7月に24万円のパソコンを買って、すぐに仕事で使い始めたとします(少額減価償却資産の特例は使わない場合)。

  • 1年分の減価償却費:24万円×0.250=6万円
  • 2026年(7月〜12月の6か月):6万円×6/12=3万円
  • 2027年〜2029年:毎年6万円
  • 2030年:残りの額から1円を差し引いた2万9,999円
年 減価償却費 年末の未償却残高
2026年 3万円 21万円
2027年 6万円 15万円
2028年 6万円 9万円
2029年 6万円 3万円
2030年 2万9,999円 1円

最後に残す1円を「備忘価額」といい、資産がまだあることを帳簿に残しておくための金額です。パソコンを処分したときに、この1円も経費(除却損など)として処理します。

仕事とプライベートの両方でパソコンを使っている場合は、減価償却費にさらに事業で使う割合を掛けた額が経費になります。例えば事業割合が80%なら、2027年の経費は6万円×80%=4万8,000円です(目安)。

どの処理を選ぶか迷ったときの考え方

10万円以上の資産は、一括償却資産、少額減価償却資産の特例、通常の減価償却のうち、複数の方法から選べる場合があります。選び方の目安は次のとおりです。

  • 今年の所得が大きい:青色申告で少額減価償却資産の特例を使えるなら、買った年に全額を経費にすると、今年の税負担を抑えられます。
  • 今年の所得が小さく、来年以降に増えそう:一括償却資産や通常の減価償却で、経費を翌年以降に分けたほうが、全体として負担が平らになることがあります。
  • 手間を減らしたい:一括償却資産は月割りが不要で、3年で必ず終わるため管理が楽です。

少額減価償却資産の特例を使った資産や一括償却資産は、事業用の資産として償却資産税(市区町村の固定資産税の一種)の申告対象になるかどうかの扱いが異なります。償却資産の申告が必要かどうかは、お住まいの市区町村で確認してください。

申告での書き方と管理のチェックリスト

減価償却費は、青色申告なら青色申告決算書の「減価償却費の計算」の欄、白色申告なら収支内訳書の同様の欄に、資産ごとに記入します。会計ソフトでは、固定資産の登録画面に取得日・取得価額・耐用年数・事業割合を入力すると、毎年の減価償却費を自動で計算できるものが一般的です。

資産を買ったときと、毎年の決算のときに、次の点を確認しましょう。

  • 取得価額は、本体価格に配送料や設置費用など、使えるようにするための費用を含めている
  • 取得日ではなく、実際に使い始めた月から月割りしている
  • 耐用年数を耐用年数表で確認している
  • 事業で使う割合を決め、根拠をメモしている
  • 購入時の領収書や納品書を、償却が終わるまで保存している
  • 処分や売却をしたときに、帳簿から外す処理をしている

事業用の資産を売った場合は、売却代金の扱いが減価償却とは別の論点になり、内容によっては譲渡所得として扱われることもあります。売却や買い替えを予定しているときは、税理士や税務署に確認してください。

まとめ

パソコンや機材は、金額によって「全額をその年の経費」「一括償却資産」「少額減価償却資産の特例」「減価償却」のいずれかで処理します。減価償却では、取得価額に耐用年数ごとの償却率を掛け、買った年は使い始めた月から月割りします。

次にやることは、次の3つです。

  1. 今年買った仕事用の資産を一覧にし、それぞれの取得価額と使い始めた月を確認する
  2. 金額ごとの処理を決め、減価償却する資産は耐用年数表で耐用年数を確認する
  3. 会計ソフトに固定資産として登録し、少額減価償却資産の特例を使う場合は最新の条件を国税庁で確認する

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