開業・独立更新 2026.10.27読了 7分

フリーランスが検討したい保険|賠償責任保険と所得補償保険の考え方

会社員と違い、フリーランスは仕事中のけがや病気で働けなくなったとき、取引先に損害を与えたときの備えを自分で用意する必要があります。公的な保障との違い、賠償責任保険と所得補償保険の考え方、選ぶときのチェックポイントを整理します。

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独立して収入が自分の働きだけになると、「もし病気やけがで働けなくなったら」「納品したものでトラブルが起きて、損害を請求されたら」と不安になることがあります。会社員のころは会社や公的な制度が支えてくれていた部分を、フリーランスは自分で考えなければなりません。

とはいえ、不安だからといって保険にたくさん入ると、毎月の支払いが重くなります。大切なのは、公的な保障で足りない部分を確認し、自分の仕事に合った備えを選ぶことです。

この記事では、会社員とフリーランスの保障の違い、フリーランスが検討したい賠償責任保険と所得補償保険の考え方、選ぶときのチェックポイントを整理します。特定の保険商品のおすすめではなく、自分に必要な備えを考えるための材料としてお読みください。

会社員とフリーランスの保障の違い

会社員は、勤務先を通じて健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険に加入しています。フリーランスになると、多くの場合は国民健康保険と国民年金に切り替わり、受けられる保障が変わります。

場面 会社員の主な保障 フリーランスの状況
病気やけがで働けない 健康保険の傷病手当金 国民健康保険には、一般に同様の給付がない
仕事中のけが 労災保険 原則として対象外。特別加入の制度を利用できる場合がある
仕事がなくなった 雇用保険の基本手当 雇用保険には加入できない
取引先に損害を与えた 会社が対応することが多い 自分で対応する必要がある
老後や障害 厚生年金と国民年金 国民年金のみ(任意の上乗せ制度がある)

このように、フリーランスは「働けない間の収入」と「仕事上の賠償」の備えが手薄になりがちです。この2つを補うのが、所得補償保険と賠償責任保険です。

賠償責任保険:仕事のミスや事故に備える

賠償責任保険は、仕事の中で他人や取引先に損害を与え、法律上の賠償責任を負ったときに、賠償金や争いの費用などを補償する保険です。Web・IT系のフリーランスなら、例えば次のような場面が考えられます。

  • 納品したWebサイトやプログラムの不具合で、取引先の業務が止まった
  • 預かった顧客データを誤って流出させてしまった
  • 制作物に使った素材が、他人の著作権や肖像権を侵害していた
  • 打ち合わせ先で、借りた機材を壊してしまった

どの場面が補償されるかは、保険の種類や契約内容によって大きく異なります。例えば、情報漏えいや著作権侵害は特約として別に付ける必要がある、納期の遅れによる損害は対象外、といったケースがあります。加入を検討するときは、自分の仕事で起こりやすいトラブルが補償の対象になっているかを、約款や重要事項説明書で確認しましょう。

特に、次のような働き方をしている人は、賠償責任保険を優先して検討するとよいでしょう。

  • 取引先のシステムやサーバー、顧客データに直接触れる仕事をしている
  • 1件あたりの取引額が大きく、不具合があったときの影響が大きい
  • 写真・イラスト・文章など、権利が関わる素材を扱う仕事が多い
  • 取引先から、契約の条件として保険への加入を求められている

賠償責任保険は、損害保険会社の商品に直接加入するほか、フリーランス向けの団体や業界団体の会員サービスとして付いているものもあります。補償内容と費用のバランスを比べて選ぶとよいでしょう。料金・条件は各社・各団体の公式サイトで確認してください。

所得補償保険:働けない間の収入に備える

所得補償保険は、病気やけがで働けなくなったときに、その間の収入の一部を補償する保険です。フリーランスは、働けない期間がそのまま収入の減少につながるため、検討する価値があります。似た保険に、生命保険会社が扱う「就業不能保険」があり、主に長期間働けない状態に備えるものです。

確認する項目 内容 考え方
補償される金額 月ごとにいくら受け取れるか 毎月の生活費と事業の固定費をもとに考える
補償される期間 最長でどのくらいの期間受け取れるか 短期の商品と長期の商品がある
免責期間 働けなくなってから補償が始まるまでの期間 この期間は貯蓄でまかなう前提で考える
対象となる状態 入院のみか、自宅療養も含むか 精神的な疾患が対象かどうかも確認する
加入の条件 年齢や健康状態の告知 健康状態によっては加入できない場合がある

必要な金額は、「働けない間も出ていくお金」から考えます。例えば、毎月の生活費が20万円、事業の固定費(サーバー代やソフトの利用料など)が3万円かかる場合、働けない間も月に23万円程度が必要になる目安です。ここから、公的な給付や貯蓄でまかなえる分を差し引いた残りが、保険で備える金額の目安になります。数字はあくまで仮定の例なので、自分の家計と事業の支出で計算してみてください。

受け取れる金額には、収入に応じた上限が設けられているのが一般的です。収入を証明する書類として確定申告書の控えなどを求められることもあるため、申告の書類はきちんと保管しておきましょう。

保険を選ぶ前に確認したいこと

保険は、公的な保障と貯蓄で足りない部分を補うものです。次の順番で考えると、入りすぎや不足を防ぎやすくなります。

  1. 国民健康保険の高額療養費制度など、医療費の自己負担を抑える公的な制度を確認する
  2. 国民年金の障害基礎年金など、働けなくなったときに受けられる公的な給付を確認する
  3. 生活費と事業の固定費の何か月分を貯蓄で備えられているかを把握する
  4. 自分の仕事で起こりやすいトラブルと、その損害の大きさを書き出す
  5. 足りない部分に絞って、賠償責任保険や所得補償保険を検討する
  6. すでに入っている保険と補償が重なっていないかを確認する

老後の備えとしては、国民年金の上乗せとなる制度や、小規模企業共済などもあります。これらは保険とは別のしくみなので、別の記事で詳しく解説します。

保険料の税金上の扱い

保険料が経費になるかどうかは、保険の目的によって変わります。一般的な考え方は次のとおりです。

  • 賠償責任保険:事業のための保険なので、保険料は経費として扱えるのが一般的
  • 所得補償保険・就業不能保険:自分自身の収入や生活を守るための保険なので、保険料は経費にならず、生命保険料控除の対象になる場合がある
  • 医療保険・生命保険:個人の保険として、生命保険料控除の対象になる場合がある

まとめ

フリーランスは、会社員に比べて「働けない間の収入」と「仕事上の賠償」の備えが手薄になりがちです。まずは公的な保障と貯蓄で備えられる範囲を確認し、足りない部分を賠償責任保険や所得補償保険で補うのが基本の考え方です。補償の対象や条件は商品によって大きく違うため、約款を確認して選びましょう。

次にやることは、次の3つです。

  1. 自分の仕事で起こりうるトラブルと、働けなくなったときに困る支出を書き出す
  2. 公的な保障と貯蓄で、どこまで備えられるかを確認する
  3. 足りない部分について、賠償責任保険や所得補償保険の補償内容を比べる

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