開業・独立更新 2026.10.27読了 7分

個人事業主の事業用クレジットカードの選び方|比べたい7つの軸

個人事業主が事業用のクレジットカードを持つ理由と、個人向けカード・ビジネスカードの違い、選ぶときに比べたい7つの軸を解説します。申し込み前のチェックリストと、使い始めてからのルールもまとめます。

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ソフトの利用料やサーバー代、書籍、交通費など、事業の経費をプライベートのクレジットカードで払っていませんか。明細に私用の買い物と経費が混ざっていると、確定申告の前にどれが経費かを1件ずつ確認することになります。

事業用のクレジットカードを1枚決めて経費の支払いをまとめると、明細がそのまま経費の記録になり、会計ソフトへの取り込みも楽になります。ただ、カードの種類は多く、何を基準に選べばよいか迷うところです。

この記事では、特定のカードをおすすめするのではなく、事業用カードを選ぶときの考え方を解説します。カードの種類の違い、比べたい7つの軸、申し込み前のチェックリスト、使い始めてからのルールを順番に見ていきます。

事業用カードを分けるメリット

個人事業主が個人向けのクレジットカードで経費を払っても、それ自体は問題ありません。それでも事業用を分けるのは、次のようなメリットがあるからです。

  • 経費の記録が自動でそろう:明細を会計ソフトに取り込めば、支払日・支払先・金額がそのまま記録になります。
  • 私用との仕分けがいらない:事業用のカードには経費だけが載るので、1件ずつ確認する手間が減ります。
  • 支払いのタイミングをそろえられる:経費の支払いが月1回の引き落としにまとまり、資金繰りの見通しが立てやすくなります。
  • レシートがない支払いも追える:ネットで契約するサービスなど、紙の領収書が出ない支払いも明細で確認できます。

なお、カードの明細は支払いの記録として役立ちますが、何を買ったかの詳細が分からない場合もあります。領収書や利用明細のデータもあわせて保存しておきましょう。保存方法は別の記事で詳しく解説します。

カードの種類|個人向けとビジネス向けの違い

個人事業主が事業用に使えるカードは、大きく次の2種類に分けられます。

種類 特徴 向いている人
個人向けカード(事業用に1枚決めて使う) 種類が多く選びやすい。カード会社によっては、事業目的での利用を規約で制限している場合があるため確認が必要 経費の支払いが少なく、まず手軽に分けたい人
ビジネスカード(個人事業主・法人代表者向け) 事業での利用を前提にした券種。会計ソフトとの連携や、経費管理に役立つサービスがついているものがある 経費の支払いが多い人、事業用であることを明確にしたい人

法人向けのカードには、会社として申し込むものもあります。個人事業主の段階では、個人事業主が申し込めるビジネスカードか、個人向けカードを事業専用にする方法が中心になります。将来の法人化を考えている場合は、法人化後に切り替えが必要になることも覚えておきましょう。

事業用カードを選ぶ7つの軸

カードを比べるときは、次の7つの軸で整理すると、自分に必要な条件がはっきりします。

  1. 年会費と、その条件:年会費の有無や、条件を満たすと優遇される仕組みがあるかを確認します。金額だけでなく、付帯サービスとの釣り合いで考えます。
  2. 申し込みの条件と審査:個人事業主が申し込めるか、開業直後でも申し込めるか、確認書類として何が必要かを確認します。
  3. 利用限度額:広告費や機材の購入など、まとまった支払いがある人は、限度額が足りるかが大切です。
  4. 締め日と支払日:締め日から引き落とし日までの期間は、資金繰りに影響します。売上の入金日とのバランスを見ておきます。
  5. 会計ソフトとの連携:使っている会計ソフトで明細を自動取り込みできるかを確認します。手入力が減るかどうかで、日々の手間が大きく変わります。
  6. 追加カードや利用者の管理:外注先やスタッフに経費の支払いを任せる予定があるなら、追加カードを発行できるかを確認します。
  7. ポイントや付帯サービス:ポイントの還元や旅行保険、空港ラウンジなどの付帯サービスです。魅力的に見えますが、上の6つを満たしたうえで比べるのがおすすめです。

働き方別の重視したいポイント

  • Web・IT系で、サブスクリプションの支払いが多い人:会計ソフトとの連携と、海外サービスでの使いやすさ
  • 出張や移動が多い人:交通系の利用のしやすさ、旅行保険などの付帯サービス、ETCカードの発行
  • 広告費や仕入れが大きい人:利用限度額と、締め日・支払日の組み合わせ
  • 経費の支払いが少ない人:年会費の負担が小さく、申し込みやすいこと

年会費や還元率、付帯サービスの内容は変わることがあります。料金・条件は各カード会社の公式サイトで確認してください。

申し込み前のチェックリスト

申し込む前に、次の項目を確認しておくと、手続きがスムーズになります。

  • 引き落とし口座にする事業用の銀行口座を用意したか
  • 本人確認書類と、必要に応じて事業の確認書類(開業届の控えなど)を用意したか
  • 使う予定の会計ソフトが、そのカードの明細連携に対応しているか
  • 毎月の経費の支払い額の目安を把握し、必要な限度額をイメージできているか
  • 締め日と支払日を確認し、売上の入金日との関係を見たか
  • 年会費がかかる場合、その条件と付帯サービスの内容を確認したか

使い始めてからのルール

事業用カードの効果を出すには、使い方のルールを決めておくことが大切です。

  • 事業用カードで私用の買い物をしない:混ざると、仕分けの手間が元に戻ってしまいます。
  • 経費の支払い先をまとめて切り替える:サーバー、ドメイン、ソフトの利用料、通信費など、継続して払うものの支払い方法を事業用カードに変えます。
  • 家事按分するものはルールを決める:スマホの通信費のように私用と兼ねるものは、事業用で払うか個人用で払うかを決め、按分の割合を一定にします。
  • 明細を毎月確認する:会計ソフトに取り込まれた明細を月に一度は確認し、見覚えのない請求がないかもチェックします。

家事按分(かじあんぶん)とは、私用と事業の両方に使う支出のうち、事業で使った分だけを経費にする考え方です。按分の具体的な計算は別の記事で詳しく解説します。

カード払いの経費の記録の考え方

カードで払った経費は、使った日と口座から引き落とされる日がずれます。帳簿では、一般的に次の2段階で記録します。

  1. カードを使った日に、経費と「未払金」(まだ支払っていない代金)を記録する
  2. 口座から引き落とされた日に、未払金を減らし、預金から支払ったことを記録する

会計ソフトでカードと口座の両方を連携しておくと、この流れを明細の取り込みから進められます。年末をまたぐ支払いの扱いなど判断に迷う場合は、税理士や税務署に確認してください。

まとめ

事業用カードを1枚決めて経費の支払いをまとめると、明細がそのまま経費の記録になり、確定申告前の仕分けの手間が減ります。カードを選ぶときは、ポイントよりも先に、申し込みの条件、限度額、締め日と支払日、会計ソフトとの連携を確認するのがおすすめです。

次にやることは、次の3つです。

  1. 毎月払っている経費を書き出し、必要な限度額と支払いの傾向をつかむ
  2. 7つの軸で候補のカードを比べ、公式サイトで年会費や条件を確認して申し込む
  3. カードが届いたら会計ソフトと連携し、継続して払う経費の支払い方法を切り替える

※ 記事の内容は公開・更新時点の一般的な情報です。税金・制度の個別の判断は、税理士や税務署にご確認ください。サービスの料金・条件は各社の公式サイトでご確認ください。